NEXT HORIZON・Shu Land Annexフォトギャラリーブログ・オダギ秀の眼差しとモノローグ。

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ジョウロ。 23:55



長く休み続けているジョウロに会った。 
飾りなど無い方がいいと言っていたのに、綺麗に錆を纏ったように見えた。 
まだまだやる気があると言っているが、水を溜めることしかできないように思った。 
また今日も、ステイゴールドなんて、口ずさんでしまう。

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椅子。 23:59



ガラス戸越しに、誰もいない庭を見た。 
あの夏、ボクらが掛けて話した椅子がある。 
あの日、ふいに足下を通って驚かした猫は、あの日以来、二度と姿を見せていない。 
ボクは、思い出をそこで止め、冷めた珈琲を飲み干してページをめくる。
聞こえているのは、キース・ジャレット。

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教室。 23:59



卒業した大学へは十数年に一度も行っていないのに、高校は数年ごと位には訪ねている。ボクが今も、通っていた高校のある街に住んでいるということもあるが、師と級友と環境に恵まれた、ドラマか歌謡曲のような青春を過ごしたことが、大きな理由だと思う。 
今の季節は、授業を受けながら教室の窓の外を見ると、枝垂れ桜が満開だった。
そのことを思い出し、いきなりまた、高校に行ってみようかと思った。
だが、時間がとれない。 で、深夜、先月撮った教室の写真など覗いている。窓際の前から二つめの机がボクの席だ。一番前の席の寺門君は、大学に入ってすぐの夏、亡くなった。もう何年になるのか。

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痕跡。 23:59



何十年か振りに、むかし、いつもたむろしていた路地裏を通った。何処もかしこも変わってしまって狼狽えた。 
ビルの谷間に、小さな空き地があった。
そうだ、ここだと思った。 この辺りに小さな雑居ビルがあって、その入り口の煉瓦に座って、若かったボクらは、プロテストソングなど歌っていたのだ。 

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馬頭尊。 23:59



父の命日なので、墓参りに行った。 
墓地は実家の裏手の竹藪の先になるが、途中、道端の馬頭さんに寄った。 
ボクは実家では小学校の2年間しか暮らしていないから、その頃の一度きりの記憶なのかも知れないが、父と墓参りに行く時に、この馬頭さんに参った。むかし、家でも馬を飼っていたのだと、父が言った。 
その時、馬頭と言う言葉を覚えた。馬の頭が眠っているのかと、怖いと思ったものだ。 
今日、竹藪を抜ける風は、もう肌寒い。

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行く風。 23:59



ヨットハーバーを廻って帰ることにした。 
遅い時間だからか、もう人影もない。 
いや、夏の風が、行ってしまったからかも知れない。 
ボクの夏の日も、ずいぶん遠くなった。また、風を求めてハーバーに来ることはあるのだろうか。


■オダギ秀写真展「旅の途中・2013」開催します。

  2013年10月19日(土)〜10月27日(日)

    10:00a.m.〜6:00p.m. 会期中、休廊はありません。

  カフェ&ギャラリー ロダン

    茨城県つくば市高野台3-15-35 Phone 029-836-3311



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ノクターン。 23:55




印刷の立ち会いを済ませて夕方遅く、工場の外に出た。だが今日はそのまま帰らず、まったく気紛れに、辺りを歩き廻った。
もう二十年にもなろうか。住宅街の近所への騒音を避け、周囲に建物のない郊外に移転したこの工場で、若かったボクは、よくクレームを出しては版の焼き直しをしてもらった。作業を待つ間、行く当てもなかったボクは、近所の畑や野原を歩いた。今日、久々に、暮れて行く空を見て、あの頃見ていた空も、ああこんなだった、と思った。
何かが突き上げてきて、iPodを探った。ショパン、ノクターン20番遺作。


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岬の店。 23:55




岬の突端に燈台がある。燈台に向う道沿いの店が、何やら焼いて売っている。
だが、商売が成り立つのかと思うほど人は通らず、時折、チラホラ通る観光客は、そんな店を振り返ることもない。いかにも、季節はずれの佇まいなのだ。
漂って来るいい香りが、切ない思い出のように、ボクにまとい付く。


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水の記憶。 07:14




水戸偕楽園に、鬱蒼とした杉林があって、奥に、吐玉泉という湧水がある。
数十年振りに、そこを訪ねた。まさに、こんこんと、吹き出るように水が湧いていた。
小学校の低学年の時だったか、遠足でその泉に行き、冷たい水の中で、足の生えた魚のようなものを捕らえた。教師は、山椒魚だと言った。
突然そんなことを思い出し、水の中を覗いてみたが、本当に、山椒魚など棲んでいたのだろうか。
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空の記憶。 05:22




雲が、向こうの林の上の方にぽかぽかと浮いていると思っていたら、どんどん頭上に広がって、襲ってでも来るかのように覆い被さった。
春の空って、こんなに激しかったかなと思いながら見上げていると、眩しい光の中で、ふいに記憶が甦った。子どものころ、いつまでも眺めていた空の記憶だ。
そうだ、この空に雲雀の声が聞こえたんだった。
そばだてた耳に、今日はどこかで微かな槌音。

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