裸電球。 | 07:21 |
お洒落な美容室の軒下に、裸電球が下がっていた。
侘しいものの代名詞のような裸電球だが、思い浮かべてみると、それほど悪い思い出に繋がっているワケではない気がした。
子どもの頃の我が家でも、笠が壊れでもしたのだろうか、裸電球の下で兄妹ではしゃいで遊んだ記憶があるし、必ず出かけた三夜尊の縁日では、裸電球が定番だった。裸電球を箱に入れ、卵を孵化させたこともあった。村の祭では、裸電球の列を下げる手伝いをしたし、映画館のなかったボクの村では、どこかの庭が映写会場になって、裸電球が消えると錦乃介のチャンバラが始まった。
春の風が、微かに、黄色い灯りを揺らしている。