ノクターン。 | 23:55 |
印刷の立ち会いを済ませて夕方遅く、工場の外に出た。だが今日はそのまま帰らず、まったく気紛れに、辺りを歩き廻った。
もう二十年にもなろうか。住宅街の近所への騒音を避け、周囲に建物のない郊外に移転したこの工場で、若かったボクは、よくクレームを出しては版の焼き直しをしてもらった。作業を待つ間、行く当てもなかったボクは、近所の畑や野原を歩いた。今日、久々に、暮れて行く空を見て、あの頃見ていた空も、ああこんなだった、と思った。
何かが突き上げてきて、iPodを探った。ショパン、ノクターン20番遺作。