間引き。 | 23:54 |
県南の田園の中の勢至堂を訪ねると、堂脇に小さな子安観音像がおわした。
寛政四年(1792)十月の銘があるから、二百三十年近くも、幼な子を抱き続けていることになる。
近くには、柳田國男記念公苑がある。遠野物語の柳田は、貧しかったその村の寺の絵馬に描かれた、産んだばかりの我が子の命を奪っている母親の姿に、終生忘れられない衝撃を受けた、と語っている。
この地に育った柳田は、この子安観音の母のような姿を、どのような思いで眺めたのであろうか。
子安観音の周囲は、いま、遊園地になっていて、子どもたちの遊具がいくつも作られている。